本記事では、村上春樹著「スプートニクの恋人」を、ネタバレ無しであらすじや感想、レビューを紹介していきます。
まずは一言、今作
「好き」のジャンルが違ってうまく噛み合わず、どこにもたどり着けないのが切ない…
本作は恋愛小説なのですが、ただの恋愛小説ではありません
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。
からはじまる文章はインパクトがあります
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。
スプートニクの恋人
そんな文章から始まるミステリアスな恋愛小説の今作ですが、ページ数も約300ページと少なく読みやすいので、村上春樹作品をまだ読んだことないという方の入門としてもおすすめです。
そんな今作の魅力や感想を語っていきます。
購入時の参考などにしてもらえれば幸いです!
こんな人におすすめ!
- 不思議な恋愛小説が読みたい方
- 切ない小説が読みたい方
- 村上春樹作品をまだ一度も読んだことなくて、興味がある人
こんな人にこの小説は、非常に面白い内容になっていると思います!
あらすじ
39歳の年上の女性「ミュウ」に恋をした女性「すみれ」と、そのすみれに恋をしている「ぼく」。
ある時すみれがミュウと一緒に仕事で出かけたギリシャの島で行方不明になってしまい、ぼくは捜しに行くが…。
魅力
締め付けられるような切なさ
書き出しにも書いたように、本作は登場人物それぞれ、「好き」のジャンルが違ってうまく噛み合わず、どこにもたどり着けないのが切ないです。
すみれはミュウのことが好きだが、ミュウはすみれのことを恋愛の対象として見れない。
ぼくはすみれのことが好きだが、すみれはぼくのことを恋愛の対象として見ていない。
すみれはぼくに、「あなたのことが好きよ。この広い世界で誰よりも」と言ってくれます。
ぼくは「ミュウの次にね」と言います。
すみれは「ミュウとはちょっと違うのよ」と言います。
この「好き」のジャンルの違いに苦しむ様子が切なく
胸が締め付けられます
好きなセリフ
「いちいちきくまでもないでしょう。だってあなたはわたしのただひとりの完全な友だちなんだもの」
ここでのあなたは、主人公のぼくのことです。
Amazonのレビュー
すみれ がお気に入りの登場人物です こういう感じの人 確かに居るなと思う
ギリシャの島に 行きたくなります
何か 明確に聞いてある訳じゃないんだけど 生きていく力が 沸いてくると思う
Amazon
これはミステリ風でいて異国の雰囲気をたっぷり味わえる盛り合わせみたいな小説。すみれという女性がとても魅力的。読後感より途中の盛り上がりがいい。
自分が失われてしまうっていう感覚は、どんなんだろう。なにかが出来なくなるとか老いを感じるということはあるけど、この小説に出てくることはそうじゃない。あちらとこちらの問題となっているけど。
Amazon
さくっと読めるけど、不思議な世界にどっぷりと没入できました。
Amazon
まとめ
今作は「好き」のジャンルの違いに苦しむ様子が切なく、胸を締め付けられるような恋愛小説です。
ページ数も約300ページと少なく、村上春樹作品の入門としてもおすすめです。
「スプートニクの恋人」と似た系統の村上春樹作品
どちらも同じく恋愛小説です。
ノルウェイの森
何度読んでも新しい発見がある本作は、まさに傑作でしょう。
また、ノルウェイの森はオーディブルの無料体験で朗読を聴くこともできるので、忙しい方や本を開くのが億劫な方などにおすすめです!
ノルウェイの森はこちらの記事で詳しく解説しています。
国境の南、太陽の西
ノルウェイの森と合わせて読みたいのが、この「国境の南、太陽の西」。
というのもこの作品は、村上春樹さん自身が「同じテーマを持った作品」と語っているからです。
(引用:夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです)
ノルウェイの森と同じく恋愛小説の本作は、主人公・ハジメの小学生時代から30代後半までを描かれ、そこでは誰かを愛したり、傷つけたりします。
そんな恋愛の苦しみや切なさ、不安を描いています。
国境の南、太陽の西はこちらの記事で詳しく解説しています。
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